【考察】『サラブレッド大辞典』が示す、2026年現在の「競馬の教科書」としての凄み
「競馬は経験と勘のスポーツだ」という時代は、もう過去のものかもしれません。
先日購入した『サラブレッド大辞典』(ウマフリ編著)を手に取って確信したのは、今の競馬には「科学」と「データ」の裏付けが不可欠だということです。
今回は、本書の目次と表紙から読み解ける、従来の競馬本とは一線を画す「専門性」にスポットを当てて紹介します。
1. 視覚化された「トレセンの物理」と「遺伝子の力」
まず目を引くのが、表紙に描かれた美浦・栗東両トレーニングセンターの坂路勾配グラフと、遺伝子型(ミオスタチン遺伝子など)の解説図です。
これまでの競馬本ではテキストで処理されがちだった「調教の負荷」や「血統の仕組み」が、インフォグラフィックとして徹底的に視覚化されています。
- 第4章:能力・適性(心肺機能や走法の科学)
- 第6章:生産・血統(遺伝子と個体差)
これらの章では、単なるエピソード集ではなく、なぜその馬が速いのか、なぜその距離が持つのかという問いに対し、科学的な視点からアプローチしていることが期待できます。
2. 「クロワデュノール」まで網羅する圧倒的な最新性
本書の資料的価値を象徴しているのが、表紙にディープインパクトやキングカメハメハといった伝説の名馬と並んで、2025年のホープフルS勝ち馬(※仮定)「クロワデュノール」のデータが掲載されている点です。
過去の歴史を振り返るだけでなく、現在進行形の競馬シーンに対応した「生きたデータ」が詰まっている。
これは、常に最新の情報を求めるアクティブな競馬ファンにとって、最も信頼できる指標になるはずです。
3. 競馬を「産業」として捉える多角的な視点
本書の白眉は、第8章の「競馬をとりまく人々」ではないでしょうか。
騎手や調教師といった華やかな表舞台だけでなく、運送会社や装蹄師、さらには研究職や引退馬支援にまでページを割いています。
一頭のサラブレッドがデビューし、走り、そして余生を過ごすまで。
そのサイクルを支える「産業」としての競馬を体系的に学べる構成は、単なる馬券検討の枠を超え、競馬という文化そのものへの理解を深めてくれます。
結論:これは「読む」インフォグラフィックだ
目次を眺めるだけでも、本書が「初心者向けの入門書」であると同時に「ベテランが知識を整理するための専門書」でもあることが分かります。
- 調教タイムの基準や見方(第5章)
- 馬場状態と競走パフォーマンス(第3章)
こうした具体的なトピックは、週末のレース予想に直結する実戦的な知識を与えてくれるでしょう。
データとドラマが交差する、現代競馬の最前線。この一冊を読み解いた時、あなたの競馬観は確実にアップデートされるはずです。

