一口馬主の厩舎選び|勝利数より「掲示板内率」で見る調教師データ【2024〜2026年】
募集馬から出資する馬を選ぶ時期になると、毎年のように迷うのが「厩舎(調教師)」の見極めです。
いい馬・いい厩舎だと思っても、いざ調べると厩舎成績が意外と地味で、出資をためらってしまうことがありますよね。
馬券の世界では調教師は「勝利数」で語られがちですが、一口馬主の収益は配当ではなく賞金の分配です。
つまり出資者にとって本当に効くのは「勝てるか」よりも、賞金が出る範囲に、どれだけ堅実に来てくれるかです。
このページでは、その視点で JRA 公式データを 2024〜2026 年で合算し、“馬主孝行”な厩舎をランキング化しました。
一口馬主が見るべきは「勝利数」より「掲示板内率」
結論から言うと、出資判断で軸にしたいのは「掲示板内率(5着内率)」です。
掲示板内率とは、出走回数に対して 5 着以内に入った割合のことを指します。
JRA の多くのレースでは 5 着までに本賞金が支払われるため、掲示板内率は「1 回出走するごとに賞金を持ち帰る確率」の近似と考えられます。
勝利数や勝率は「強さ・華やかさ」を映しますが、一口馬主の回収に直結するのは、地味でも賞金圏に届く頻度の方なのです。
ただし、未勝利を勝ち上がれないと(地方への移籍などの道はあるものの)出走機会そのものが先細るため、キャリア最初の 1 勝だけは掲示板内率より優先される特別なハードルだと考えてください。
指標の定義(掲示板内率・3着内率・勝率)
本ページで使う指標は、すべて出走回数を分母にした「率」で揃えています。
掲示板内率 = (1着+2着+3着+4着+5着)÷ 出走回数
3着内率(複勝率)= (1着+2着+3着)÷ 出走回数
勝率 = 1着 ÷ 出走回数
あわせて「出走回数」も必ず見てください。
出走回数は率の信頼度(母数)であると同時に、その厩舎がどれだけ馬を使う環境かを映す目安にもなります。
集計の方法とデータの前提
ランキングは、JRA 公式のリーディングトレーナー(2024 年・2025 年・2026 年)をもとに、当サイトで合算・集計しています。
単年では成績が大きく振れる年もあるため、直近約 2 年半(2024 年〜2026 年途中)を合算して母数を確保しました。
合算は率の平均ではなく、着順ごとの回数を 3 年分そのまま足してから割り直す方法で求めています。
そのうえで、次のルールで対象を絞り込みました。
- 引退した調教師は除外:今後の募集馬を管理しないため、過去成績が良くても対象外にしています。
- 出走回数の少ない特殊枠は除外:期間限定免許などごく少数の出走に限られるケースは外しています。
- 合算出走 300 回以上にフロアを設定:率のブレを抑えつつ、近年開業の新しい厩舎も拾える水準にしています。
この条件を満たした 172 厩舎が今回の母集団で、掲示板内率の中央値は約 36.5% でした。
なお 2026 年は集計時点までの途中経過を含んでいるため、年内の最新成績で多少前後する点はご了承ください。
“馬主孝行”な厩舎ランキング(掲示板内率トップ35)
掲示板内率(5着内率)の高い順に並べた、出資して報われやすい厩舎の一覧です。
右側に 3着内率・勝率も併記したので、「賞金圏に堅実なタイプ」か「勝ち切る力もあるタイプ」かを見比べてみてください。
| 順位 | 調教師 | 出走回数 (3年計) |
掲示板内率 | 3着内率 | 勝率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 中内田 充正 | 577 | 58.8% | 42.8% | 18.0% |
| 2 | 田中 博康 | 516 | 57.8% | 43.8% | 18.8% |
| 3 | 上村 洋行 | 568 | 55.5% | 41.9% | 18.0% |
| 4 | 友道 康夫 | 751 | 55.3% | 37.0% | 15.2% |
| 5 | 福永 祐一 | 516 | 54.5% | 36.8% | 13.2% |
| 6 | 木村 哲也 | 479 | 53.9% | 41.3% | 19.0% |
| 7 | 堀 宣行 | 539 | 53.1% | 38.8% | 18.6% |
| 8 | 杉山 晴紀 | 956 | 52.4% | 36.5% | 15.2% |
| 9 | 吉岡 辰弥 | 618 | 51.0% | 33.5% | 11.7% |
| 10 | 斉藤 崇史 | 798 | 50.4% | 32.6% | 13.8% |
| 11 | 田中 克典 | 595 | 50.3% | 29.1% | 11.9% |
| 12 | 鹿戸 雄一 | 779 | 49.7% | 32.1% | 11.9% |
| 13 | 宮田 敬介 | 570 | 49.6% | 35.4% | 13.5% |
| 14 | 池江 泰寿 | 790 | 48.9% | 30.0% | 10.8% |
| 15 | 大久保 龍志 | 676 | 47.6% | 32.4% | 14.5% |
| 16 | 松永 幹夫 | 809 | 47.6% | 29.3% | 11.2% |
| 17 | 藤原 英昭 | 789 | 47.4% | 32.3% | 12.9% |
| 18 | 須貝 尚介 | 841 | 47.3% | 31.6% | 10.8% |
| 19 | 武 幸四郎 | 618 | 47.1% | 30.3% | 9.9% |
| 20 | 蛯名 正義 | 533 | 46.9% | 30.6% | 8.8% |
| 21 | 上原 佑紀 | 609 | 46.0% | 33.3% | 11.7% |
| 22 | 四位 洋文 | 588 | 45.7% | 31.3% | 11.7% |
| 23 | 中舘 英二 | 658 | 45.7% | 28.6% | 8.7% |
| 24 | 手塚 貴久 | 801 | 45.1% | 31.2% | 11.5% |
| 25 | 高野 友和 | 668 | 45.1% | 31.1% | 11.7% |
| 26 | 加藤 士津八 | 662 | 44.6% | 28.7% | 8.9% |
| 27 | 奥村 豊 | 738 | 44.4% | 28.2% | 9.6% |
| 28 | 橋口 慎介 | 624 | 44.4% | 26.0% | 8.7% |
| 29 | 森 一誠 | 408 | 44.1% | 28.9% | 13.2% |
| 30 | 高柳 大輔 | 649 | 44.1% | 29.4% | 10.6% |
| 31 | 大竹 正博 | 675 | 43.6% | 29.3% | 11.6% |
| 32 | 栗田 徹 | 827 | 43.2% | 26.8% | 8.1% |
| 33 | 久保田 貴士 | 600 | 43.0% | 25.3% | 7.8% |
| 34 | 安田 翔伍 | 589 | 43.0% | 27.3% | 10.2% |
| 35 | 長谷川 浩大 | 637 | 42.7% | 27.8% | 8.9% |
トップは中内田充正厩舎の掲示板内率 58.8%(出走 577 回・勝率 18.0%)で、量と質を高い水準で両立しています。
元騎手の福永祐一厩舎が比較的新しい開業ながら 54.5% で 5 位に入っているのも、出資先選びの観点では目を引くところです。
ランキングの「読み方」3つのポイント
勝利数1位=掲示板内率1位ではない
勝利数や総賞金で常に上位の矢作芳人厩舎は、3 年で最多の出走 1241 回を誇ります。
ところが掲示板内率は 41.7% で、172 厩舎の中央値(約 36.5%)は上回るものの、トップ層の 50% 超には届きません。
これは多くの馬に挑戦的なレースを使う大規模厩舎ほど、出走 1 回あたりの掲示板内率は薄まりやすいためです。
「強い厩舎」と「自分の出資馬が賞金圏に来やすい厩舎」は、必ずしも一致しないという点が、このデータの肝です。
勝率は低くても賞金圏に堅実なタイプ
たとえば蛯名正義厩舎は勝率こそ 8.8% と平均的ですが、掲示板内率は 46.9% で全体の上位 20 番手に位置します。
勝ち切る回数は派手ではなくても、出走するたびに賞金圏へ堅実に運んでくれる「取りこぼしの少ないタイプ」です。
毎月の維持費がかかる一口馬主にとって、こうした安定感は精神的にも家計的にもありがたい存在と言えます。
出走回数(母数)と規模バイアスに注意
率だけを見ると、出走の少ない厩舎がたまたま高く出ることがあります。
本ランキングは出走 300 回以上に絞っていますが、それでも率は出走回数とセットで判断してください。
また出走回数は厩舎の規模も反映するため、「あなたの 1 頭を使ってくれる頻度」そのものを表すわけではない点も意識しておきたいところです。
出資判断で気をつけたいこと
このデータはあくまで全条件・全世代を合算した「厩舎全体の傾向」です。
① 2歳・新馬戦の判断は別軸:募集馬の多くは若駒だが、本表は全世代合算なので「早期デビュー・勝ち上がりの巧さ」までは表していない。
② 厩舎の状態は変動する:年によって成績は動き、所属馬や人員も変わる。直近の傾向もあわせて確認したい。
③ 最後は馬の個体と血統:厩舎は判断材料の一つ。血統・馬体・クラブの方針と合わせて総合的に見ること。
厩舎は「賞金圏に来やすいか」を測る材料として使い、最終的な出資判断は馬そのものと合わせて下すのが安全です。
まとめ
一口馬主の出資判断では、勝利数の華やかさよりも「掲示板内率=賞金圏に来てくれる頻度」を軸に厩舎を見ると、回収につながりやすくなります。
そのうえで、出走回数(母数)と直近の状態、そして馬個体の条件を重ねて判断するのがおすすめです。
募集馬を血統の視点からも見極めたい方は、あわせて競馬の血統の基本もご覧ください。
※本ランキングの数値は、JRA 公式サイト「リーディングトレーナー」(2024 年・2025 年・2026 年)の公開データをもとに、当サイトで合算・集計したものです(2026 年は集計時点までの途中経過を含みます)。


