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前走1着の馬は本当に買いなのか|昇級初戦のコストと、前走着順別の勝率・回収率

saratogax
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出馬表で前走1着の馬を見つけて、本命の第一候補にしていませんか。

「勝った馬は勢いがある」「連勝中は買い」——競馬を続けているとよく耳にする話ですよね。

ですが、中央競馬(JRA)の1勝クラス以上 約8.7万件の出走データを前走着順別に集計すると、前走1着の馬は前走2着の馬に大きく負けていました。

複勝率の差は13.7ptあります。

しかも、これは前走で激走した反動ではありません。

原因は昇級で、クラスが低いほど、そしてダートほど差が大きくなります。

どこで割り引き、どこでは気にしなくていいのかを見ていきましょう。

この記事の結論

前走1着の複勝率は28.9%で、前走2着の42.7%を13.7pt下回ります。

・原因は昇級初戦です。昇級が無いオープン以上では差が3.6ptまで小さくなります。

・差はクラスが低いほど大きく、1勝クラスでは20.1ptです。

ダートはさらに厳しく、ダートの1勝クラスでは前走1着の複勝率が22.1%で、同じ条件の平均22.1%と同じでした。

1〜3番人気なら気にしなくて構いません。回収率は単勝77%・複勝81%で、同じ条件の平均と同じです。

前走1着の馬は、どのくらい走るのか

まずは前走の着順別に、そのまま並べます。

前走の着順 勝率 複勝率 単勝回収率 複勝回収率 出走数
前走1着 10.8% 28.9% 69% 74% 12,196
前走2着 17.2% 42.7% 72% 75% 6,592
前走3着 12.7% 36.4% 73% 78% 6,542
前走4着 10.0% 30.0% 81% 76% 6,408
前走5着 8.3% 25.0% 77% 75% 6,393
前走6〜9着 5.1% 17.9% 72% 72% 23,805
前走10着〜 3.1% 11.1% 71% 69% 24,757
※表は横スクロールできます

複勝率がいちばん高いのは前走2着の42.7%でした。

前走1着は28.9%で、前走3着の36.4%よりも低く出ています。

前走4着は30.0%で、前走1着との違いは1.1ptしかありません。

この程度の違いは、集計のばらつきの範囲に収まります。

前走1着は前走4着と同じくらいの成績です。

回収率も同じ傾向でした。

前走1着の単勝回収率は69%で、全体の72%を下回っています。

勝った勢いというものが数字に出ていない、ということになります。

ただし、この表だけでは理由が分かりません。

正体は激走の反動ではなく昇級初戦

条件戦を勝った馬は、次走の大半が昇級初戦になります。

1勝クラスを勝てば2勝クラス、2勝クラスを勝てば3勝クラスへ上がるからです。

つまり前走1着の馬は、勝った直後であると同時に、相手が強くなった一戦を迎えています。

前走2着以下の馬は同じクラスに残るので、この2つを分けて考える必要があります。

昇級が無いオープン以上では差が小さくなる

オープン・重賞にはクラスの昇降がありません。

前走1着でも同じ土俵に戻るので、ここで差が消えるなら原因は昇級だと分かります。

今回のクラス 前走1着 前走2着 前走1着の出走数
1勝クラス 26.2% 46.3% -20.1pt 4,875
2勝クラス 33.2% 44.0% -10.7pt 2,724
3勝クラス 31.0% 38.7% -7.7pt 1,518
オープン以上 28.5% 32.1% -3.6pt 3,079
※表は横スクロールできます

オープン以上の差は3.6ptでした。

条件戦の20.1ptや10.7ptと比べると、はっきり小さくなっています。

前走1着が割り引かれるのは、勝ったからではなく上のクラスへ行くからでした。

クラスが低いほど差は大きい

差は1勝クラスで20.1pt、2勝クラスで10.7pt、3勝クラスで7.7pt、オープン以上で3.6ptです。

クラスが上がるほど小さくなり、順番が入れ替わりません。

1勝クラスの前走1着は、未勝利戦や新馬戦を勝ったばかりの馬がほとんどです。

相手は同じように勝ち上がってきた馬ばかりで、初めて経験する組み合わせになります。

下級条件の昇級初戦ほど強く割り引く、という使い方ができます。

ダートの昇級は芝よりはるかに厳しい

では、芝とダートでは話が変わるのでしょうか。

昇級がある1勝クラスと、昇級が無いオープン以上の両方で比べます。

今回の条件 前走1着 前走2着 前走1着の出走数
芝・1勝クラス 32.5% 46.0% -13.5pt 1,934
ダート・1勝クラス 22.1% 46.5% -24.4pt 2,941
芝・オープン以上 27.7% 31.2% -3.5pt 2,318
ダート・オープン以上 31.0% 34.4% -3.4pt 761
※表は横スクロールできます

1勝クラスでは、前走2着との差が芝で13.5pt、ダートで24.4ptでした。

ところがオープン以上では、芝とダートの差がほとんど消えます。

昇級がある場所にだけ違いが出て、無い場所では出ないということです。

ダートの昇級初戦は、芝より強く割り引けます。

ダートの1勝クラスでは、前走1着の複勝率が22.1%でした。

同じ条件の平均も22.1%で、まったく同じ数字です。

ダートの昇級初戦では、前走を勝ったという情報がほぼ役に立たなくなります。

人気馬なら気にしなくていい

ここまでの話は、どの馬にも当てはまるのでしょうか。

人気で分けて見ます。

人気 前走1着 前走2着 前走1着の単勝/複勝回収率 同じ条件の平均
1〜3番人気 52.2% 55.0% -2.8pt 77% / 81% 77% / 81%
4番人気以下 16.4% 22.4% -6.0pt 64% / 70% 71% / 70%
※表は横スクロールできます

1〜3番人気の差は2.8ptにとどまりました。

回収率にいたっては、同じ条件の平均とまったく同じ数字です。

上位人気の前走1着を買っても、損も得もしないということになります。

一方の4番人気以下は差が6.0ptあり、単勝回収率も64%で平均の71%を下回ります。

昇級初戦を嫌うのは、人気薄を買うかどうか迷ったときだけで足ります。

これは距離の変更馬体重の増減レース間隔を調べたときと同じ結果でした。

上位人気が走るかどうかは、こうした細かい条件では決まらないようです。

休み明けや未勝利ではどうなるか

昇級初戦を放牧でひと息入れてから迎えれば、埋め合わせになるのでしょうか。

休み明けの馬だけを取り出して見てみます。

条件 前走1着 前走2着
間隔10〜25週 28.7% 41.1% -12.3pt
未勝利戦 該当なし 56.2%
※表は横スクロールできます

休み明けでも差は12.3pt残りました。

単勝回収率も64%で、同じ条件の平均74%を下回っています。

間隔をあければ取り返せる、という話ではないようです。

この記事の集計から外している未勝利戦には、前走1着の馬がいません。

その分だけ前走2着が最上位になり、複勝率は56.2%まで上がります。

出馬表でどう使うか

ここまでの結果を、馬券を組み立てるときの判断材料として整理します。

  • 前走1着を理由に印を上げない。複勝率は前走2着より13.7pt低く、前走4着とほとんど変わりません
  • 狙うなら前走2着。複勝率42.7%で全区分の最上位です
  • 下級条件の昇級初戦ほど強く割り引く。1勝クラスの差は20.1pt、オープン以上は3.6ptでした
  • ダートの昇級初戦はさらに割り引く。ダートの1勝クラスでは前走1着の複勝率が22.1%で、同じ条件の平均と変わりません
  • オープン・重賞では気にしない。クラスの昇降が無いので差がほとんど出ません
  • 上位人気は無視してよい。1〜3番人気の回収率は同じ条件の平均と同じでした
  • 休み明けでも割り引く。間隔をあけても差は残りました

前走の着順は、そのまま強さの順番にはなっていませんでした。

前走1着の見かけの悪さを作っているのは、勝ったこと自体ではなく次に上がるクラスです。

出馬表では着順の欄だけを見ず、今回のクラスと馬場を並べて判断してください。

出典と集計基準
  • 出典:JRA 公式・JBIS Search の公開データをもとに当サイトが集計
  • 集計期間2023年1月〜2026年5月の中央競馬平地競走
  • 集計対象:1勝クラス以上(新馬・未勝利・障害を除く)約8.7万件(86,693件)の出走データ。前走の着順が確定している出走に限ります
  • 区分:前走1着・2着・3着・4着・5着・6〜9着・10着以下の7区分。前走で着順がつかなかった馬(競走中止・失格・除外)は集計から外れます
  • 差の判定:複勝率の差は統計的な検定で確かめています。本文で「ばらつきの範囲」と書いた箇所は、検定でも差が確認できなかったものです
  • 注意:区分によって出走数に偏りがあり、出走数の少ない区分は確定値ではない点にご注意ください
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データエンジニア
はじめまして。競馬のデータ分析を中心に情報発信をしているルンルンです。 「なんとなくの勘」ではなく、数字に基づいた予想で的中率と回収率を高めることをテーマに、JRA全場のレース傾向や馬の成績、脚質別の勝率などを日々分析しています。 主に扱っているのは、 過去数年分のレース結果の傾向分析 枠順や脚質、人気別のパフォーマンス 回収率を意識したデータ重視の買い方 競馬はロマンとギャンブルの間にある、奥の深いデータゲームだと思っています。 このブログでは、「明日の馬券に役立つ分析」をモットーに、初心者の方にもわかりやすいデータ予想を目指しています。 ご質問やご意見などもお気軽にどうぞ。 一緒に“データで競馬をもっと楽しむ”世界へ踏み込んでみませんか?
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