地方競馬15場のコースと高低差|8場は公式に「平坦」、盛岡だけJRA級の起伏
地方競馬を買うとき、コースの違いをどこまで意識していますか。
15場それぞれで1周距離も直線も高低差も違いますが、横に並べて比べられる場所はあまりありません。
このページでは主催者が公開しているデータを15場分そろえ、坂のある場と平坦な場に仕分けます。
そのうえで、坂で差がつかない場では何を見て馬を選ぶのかまで踏み込みます。
地方競馬15場の高低差と直線距離
まずは全体像を、高低差の大きい順に並べました。
| 競馬場 | 回り | 1周距離 | 直線(ゴールまで) | 高低差 |
|---|---|---|---|---|
| 盛岡 | 左 | ダート1600m / 芝1400m | 300m | 芝4.6m / ダート4.4m |
| 笠松 | 右 | 1100m | 201m | 1.92m |
| 高知 | 右 | 1100m | 200m | 1.58m |
| 門別 | 右 | 外1600m / 内1376m | 外330m / 内218m | 1.54m |
| 園田 | 右 | 1051m | 213m | 1.23m |
| 佐賀 | 右 | 1100m | 200m | 1m |
| 大井 | 外は左右 / 内は右 | 外1600m / 内1400m | 外386m / 内286m | 平坦 |
| 船橋 | 左 | 外1400m / 内1250m | 308m | 平坦 |
| 川崎 | 左 | 1200m | 300m | 平坦 |
| 水沢 | 右 | 1200m | 245m | 平坦 |
| 名古屋 | 右 | 1180m | 240m | 平坦 |
| 金沢 | 右 | 1200m | 236m | 平坦 |
| 姫路 | 右 | 1200m | 230m | 平坦 |
| 浦和 | 左 | 1200m | 220m | 平坦 |
| 帯広 | 直線コース | 全長200m | — | 第1障害1.0m / 第2障害1.6m |
直線の欄はゴールまでの距離で、JRAが公表している直線距離と同じ基準です。
地方競馬に坂のあるコースはあるのか
高低差で仕分けると、15場はきれいに3つに分かれます。
- 平坦と記載(8場):大井・船橋・川崎・浦和・水沢・名古屋・金沢・姫路
- 高低差に数字がある(6場):盛岡・笠松・高知・門別・園田・佐賀
- 別枠(1場):帯広(ばんえい)
帯広はソリで障害を越えるばんえい競馬なので、坂の話からは外して最後に補足します。
残る14場は、8場が平坦、6場に坂という内訳です。
これは中央競馬にはない偏りです。
JRAでは、最も起伏が小さい札幌でも高低差は0.7mあり、完全な平坦コースは存在しません。
坂を計算に入れる必要があるのは、地方では6場だけです。
その6場を、規模の大きい順に見ていきます。
盛岡:中山に次ぐ高低差4.6mのコース
坂のある6場で、まず押さえたいのが盛岡です。
- 高低差:芝4.6m/ダート4.4m
- 1周:ダート1600m/芝1400m
- 直線:300m(ゴールまで)
- 回り:左
- 特徴:地方競馬で唯一、芝コースを併設
高低差4.6mは、中央競馬の10場と並べても中山の5.3mに次ぐ2番目にあたります。
京都の外回り4.3m、中京の3.5mを上回る数字です。
坂の位置も分かります。
芝・ダートそれぞれの高低図が公開されていて、1周の起伏はこうなっています。
- スタートから向正面:じわじわと上っていきます。
- 3コーナー付近:ここが1周の最高点です。
- 4コーナーにかけて:一気に下ります。
- 最後の直線300m:ふたたび上りです。
道中の丘で脚を使ったうえに、ゴール前でもう一度上らされる形です。
JRAでいえば、3コーナーに丘のある京都に近い構造といえます。
小回りの平坦戦を得意にしてきた馬が、そのまま通用するとは限りません。
それがはっきり出るのが、同じ岩手の水沢との比較です。
- 盛岡:左回り/1周1600m(ダート)/高低差4.4〜4.6m/直線300m
- 水沢:右回り/1周1200m/高低差0m/直線245m
同じ主催者の2場が、これだけ正反対に作られています。
岩手の馬を見るときは、前走がどちらの競馬場だったかを確かめておきたいところです。
園田:向正面から3コーナーにかけての上り坂
坂のある6場のうち、位置まで分かるのが園田です。
- 高低差:1.23m
- 坂の位置:向正面から3コーナーにかけての上り(高低差1.2m)
- 1周:1051m(日本の競馬場でも最短クラスの小回り)
- 直線:213m(ゴールまで)
高低差1.23mは、数字としては目立ちません。
ただし1周1051mという小回りコースで、しかも直線ではない場所に上りが入ります。
道中で脚を使わされるぶん、逃げ・先行馬はペース配分が難しくなります。
坂で差がつかない場は、どこを見るか
平坦な8場では、起伏で消耗する馬とそうでない馬の差が生まれません。
代わりに効いてくる要素が3つあります。
1. 直線の長さが脚質を決める
直線は200mから386mまで、倍近い開きがあります。
| 直線の長さ | 競馬場(ゴールまでの直線) | 狙い方の目安 |
|---|---|---|
| 300m以上 | 大井(386m)・門別(330m)・船橋(308m)・川崎(300m)・盛岡(300m) | 差し・追い込みが届きます |
| 230〜250m | 水沢(245m)・名古屋(240m)・金沢(236m)・姫路(230m) | 位置取りの自由度がやや残ります |
| 220m以下 | 浦和(220m)・園田(213m)・笠松(201m)・高知(200m)・佐賀(200m) | 前に行ける馬を素直に信頼します |
最長は大井の外回り386mで、後方から直線一気の決着も起こります。
門別も直線が長くカーブが緩いため、追い込み馬が届きます。
逆に笠松は小回りで、コーナーを使った追い込みが難しいコースです。
2. コーナーの形で内外の有利不利が変わる
坂が無い代わりに、コーナーの作りが各場でかなり違います。
- 船橋:コーナーの内外に高低差を付けたスパイラルカーブ。南関東4場では唯一です。
- 名古屋:第3・第4コーナーが、入口から出口にかけて半径が小さくなるスパイラルカーブです。
- 高知:3・4コーナーに比べて、1・2コーナーの半径が小さい作りです。
- 金沢:4つのコーナーすべてにポケットが設けられています。
スパイラルカーブは外を回る馬の負担を減らすため、外枠を過度に嫌う必要がなくなります。
3. 砂の質でパワー型か軽快型かが決まる
ダート主体の地方競馬では、砂そのものが適性を左右します。
- 佐賀:砂の粒が他場より大きく、パワーのある馬が有利な傾向です。
- 笠松:極めて良好な砂で、脚抜きや水はけの良さが特徴です。
- 高知:内ラチ沿いの砂が深く、内を開けてレースが行われる傾向があります。
同じ「小回りの平坦ダート」でも、狙うべき馬のタイプは場によって変わります。
帯広だけは別の競技として見る
最後に、表の一番下にある帯広について補足します。
帯広はばんえい競馬の開催場で、他の14場とは競技そのものが違います。
コースは直線200mで、コーナーがありません。
高低差の欄にある第1障害1.0m、第2障害1.6mも、コースの地形ではなくソリを曳いて越える障害の高さです。
ゴールの判定もソリの最後尾が通過した瞬間で、他場とは根本から異なります。
ここまで見てきた直線や砂の話は当てはまらないので、帯広は別枠で考えてください。
JRA・海外の競馬場と比べる
比較の対象として、中央と海外の起伏もそれぞれ整理しています。
JRAは坂の位置まで分かるので、脚の使いどころまで踏み込んで読めます。
海外に目を向けると、アスコットの高低差は約20mと桁が変わります。
コースが分かったら、騎手と厩舎も見る
地方競馬は小回りの場が多く、仕掛けどころの判断がそのまま着順に出ます。
コースの形を押さえたら、次に効いてくるのはその場で強い騎手と厩舎です。
当サイトでは全13エリアの騎手・調教師リーディングを、公表されていない複勝率で算出して掲載しています。
まとめ
ばんえいの帯広を除く14場のうち、坂があるのは6場です。
なかでも盛岡の4.6mは、中央に混ざっても中山に次ぐ規模になります。
残る8場は坂で差がつかないので、直線の長さ・コーナーの形・砂の質が狙い目を決めます。
開催場が変わったらこの3つを確認する、という順番で見ていくと、買うべき馬のタイプが絞れてきます。
参考(出典)
高低差・1周距離・直線距離・回り、および各場の特徴に関する記述は、地方競馬情報サイトのコース一覧の記載によります。
盛岡の高低図(坂の位置)は、岩手競馬の公式サイトの記載によります。
JRA各場の高低差は、JRA公式サイトの各競馬場コース紹介ページの記載によります。
